概要

外壁塗装というと3回塗装という言葉をよく聞くと思います。3回塗装はメーカー標準施工である下地処理(下塗り1回)と仕上げ(中塗り・上塗り)の計3回を指します。実は下地の状況や立地条件によっては3回塗装では期待耐用年数を発揮することができないことをご存知ですか?各工程で必要とされる要件を満たすことで塗膜は完成します。このページでは下地状況や立地に合わせた工程を踏むことで塗りかえサイクルを長くする秘訣をご紹介します。

下地処理(下塗り)

下地処理(下塗り)は素地と仕上げ塗料の密着性を高めたり、塗料の吸い込みを抑えるために行う工程です。下塗りは塗装工程の中で最も重要で、この工程で誤った施工をすると「塗膜の剥離」や「膨れ」、「退色」といった症状が発生します。外壁の種類や下地状況によって処理方法は異なるため、ここでは代表的な下塗り工程をご紹介します。

サーフ・微弾性系フィラー

下地の劣化が少なく、新築時の塗膜がしっかりとしている場合は微弾性フィラーやサーフとよばれる下塗り材を使用します。これらの塗料には弾性といって柔らかく伸び縮みするような特性をもったものが使われます。素地の微細なひび割れ(ヘアクラック)を隠蔽すると共に、将来外壁素地にヘアクラックが生じた際に仕上げ面までひび割れを到達させないようにする為に使われます。(太さが1mmを超えるようなひび割れの場合は異なった処理方法を行います。)

ここで注意したいのが塗膜の膨れです。微弾性系フィラーのデメリットとして透湿性能の低さがあります。透湿性能とは読んで字のごとく湿気を透過させる能力を言います。透湿性能が高いものほど塗膜下で発生した水蒸気を外に逃がす性能が高いことを指し塗料においては透湿性能が高いことは非常に重要なポイントです。フィラー系の下塗り材を使用する際はご自宅の外壁が通気工法で施工されているか確認する必要があります。(塗膜触れに関する記事はコチラ)

シーラー

左万能な下塗り材で吸い込み防止や仕上げ塗料との密着性向上の為に使用されます。素地の劣化が著しい場合や既設塗膜がリシン吹きの場合やモルタル系、スタッコ吹きの場合は吸い込み防止として使用します。また劣化がほとんどなく既設状態が良好な場合には密着性向上の為に使用します。右図はリシン吹きの表面の画像ですが、表面の微細な穴から塗料を吸い込んでしまう事があるため素地の状態に合わせて、シーラーを塗布し吸い込みを防止する必要があります。
リシン吹きの参考画像

吸い込み防止の工程を行わずに上塗りを行うと、上塗り材もが外壁面に吸収されてしまい規定値通りの膜厚が確保できず仕上げにムラが発生します。また当然膜厚も凸凹になってしまいますので耐久力も低下します。

仕上げ工程(中塗り・上塗り)

フッ素やガイナと呼ばれる塗料は、この仕上げ工程に使用される塗料名前です。仕上げ工程は色や質感といった美観性や、耐久性や防汚性能などを左右する非常に重要な工程となっています。対候性能の高い高級塗料を使用すれば長年色褪せることなく美しい外壁を維持してくれます。

方角によって劣化速度が異なる

外壁の劣化要因である太陽から発せられる紫外線は立地条件によって異なります。南道路の家の場合と北道路の家を比較した場合、南道路の家は北道路の家に比べて約1.5倍早く外壁が劣化します。下図は一般的な団地の区画図を現した物です。南道路の家はおおよそ下記のようなレイアウトになっているケースが多いのですが南側外壁に1日中太陽光が照射されているため劣化の進行が早くなります。一方で北側道路の家の場合は南側の家の影となっている時間が多いため外壁が傷みにくい傾向があります。

どの位置に家があっても方角によって劣化速度は異なります。下図のように太陽マークの数が多い面ほど劣化が早いことを表しています。

南面を4回塗装することで全体のバランスを調整

塗料の耐久性は厚さによっても左右されます。厚すぎると透湿性能の低下を引き起こしますので最もバランスが取れているのが「中塗り1回」と「上塗り2回」の計4回仕上げ(下塗り含む)です。建物をメンテナンスしていく上で重要なのが全体的にバランスよく劣化するよう調整することです。南側は他の面と比べて急速に劣化がすすむので、南面を4回仕上げとすることでバランスよく仕上げることが出来ます。また南東角地の場合などは東側も4回仕上げを行うと良いでしょう。

まとめ

下地処理は、ただ単にサーフやフィラーを選ぶのではなく適材適所でシーラー等を用いて調整を行う事と、吸い込み状況に合わせて1回ではなく2回と工程を調整するのがポイントです。また仕上げ工程は建物の立地条件を考慮し仕上げ回数を調整することで全体的な劣化速度を調整して塗りかえサイクルを長くすることが出来る事をお伝えしました。是非外壁塗装の計画にお役立て下さい。

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