目次
概要
「良い職人さんに来てもらいたい」
外壁塗装を考えている方なら誰しも思う事ではないでしょうか。いざ工事が始まってみるとガラの悪そうな職人が我が家に・・・大音量で音楽を流し、足場の上での話声がうるさい。「本当に良い工事をしてもらえるのだろうか」と工事が終わるまでの間、不安で押しつぶされそうになる。100万円以上の費用を支払ったのに期待外れだった。塗装業界ではありふれた話です。期待をして任せている以上このような事態は避けたいものですよね。その為には建築会社の仕組みをしっかりと理解して頂くことが重要です。このページではどうしたら良い職人に施工をしてもらえるのかをご紹介します。
下請け業者と元請け業者
「下請け」という言葉。なんとなく知っているという方が多いと思います。建築業界というのは元請け業者と下請け業者によって成り立っています。元請け業者の役割はお客さんを集める(集客)、見積もりを作る(積算)、現場を見回る(現場管理)の3つです。一方で下請け業者は「塗装をする」「足場を組み立てる」といった(作業)を仕事としています。馴染みのある言葉で”〇〇工務店”や”〇〇リフォーム”というのは元請け業者にあたり、”職人さん”が下請け業者にあたります。

上図のようにお客さんを集めるのは”元請け業者”になります。つまり、あなたがやり取りをするのは元請け業者の営業マンになります。営業マンは見積価格や工事の打ち合わせ内容を基に下請け業者にあなたの家の工事を依頼します。依頼を受けた下請け業者(職人)は、営業からの情報を基に施工を行います。建築現場では頻繁に「顧客の伝えた要望が工事に反映されていない。」といったトラブルが発生します。これは顧客と打ち合わせをした内容が正しく下請け業者に伝わっていない場合に起こります。
複数の業者の中から選ばれる
1つの工務店には複数の下請け業者がいる場合がほとんどです。例えば下図のように足場業者が4社、塗装業者が4社、防水業者が4社といった具合です。これは「受注した工事にすぐに着手する」というスケジュールの課題をクリアするためと、「競争力を高めてコストを抑える」といった理由から複数社を抱えています。

複数社いる業者の中から顧客のスケジュールと下請け業者のスケジュールを調整して工程を組みます。選出された業者の組み合わせが良ければ、良い施工が受けられますし運悪く経験が浅かったり、マナーの悪い職人に当たってしまった場合は残念な結果となってしまいます。

価格競争の先にあるもの
元請け業者は受注した工事の約30%~40%程を集客費用や運営コストに回します。残った60~70%を工事の予算として下請け業者へ振り分けます。元請け業者としては出来れば「安く」て「丁寧」に施工をしてくれる業者から優先的に発注をする事となります。その為、下請け業者間では1件でも多くの依頼を受けるために”安くて丁寧”である事を業者間で競争する事になります。
「安くするには、早く施工をするか人件費を削るかのどちらかしかない」
職人の世界では工事の人件費を「人工」と呼びます。職人が1日(8時間程度)仕事をすることを1人工といい、1人工の相場は職種にもよりますが約20,000円です。少ない予算で工事を行うには、「人工」つまり工事の日数を減らすべく早く工事をする事になります。また、同じ日数で予算を減らすに自分の給与を下げることになります。例えば1人工を15,000円にするといった具合です。従って職人業界では、価格競争の際には下記の2つの内のいずれかの施策を行う事になります。
・早く工事を行う
・従業員の給与を下げる
お気づきだと思いますが、この2つを施策には品質が落ちるというデメリットがあります。当然、急いで工事をすれば時間を掛けて丁寧に仕事をした場合と比較して品質は落ちますし、従業員の給与を下げればモチベーションが下がり品質向上は見込めません。その為、目線は「とにかく丁寧に仕事をする」から「定められた範囲の中で丁寧に仕事をする」となります。したがって複数社の下請け業者を抱えて受発注を行うと「検査に通るレベルの施工品質」へと行きつきます。
「検査に通る品質」では良い結果は望めない
住宅の屋根・外壁・その他付帯部分は立地条件によって劣化状況が大きく異なります。主に太陽の直射日光(紫外線)によって劣化が進行する外壁では「南東角地の立地」と「北側で東西南を家に囲まれた立地」では劣化状況には雲泥の差があります。現場での施工において下塗りを1回と上塗り2回の計3回塗装でご依頼を頂いたとしても、足場を掛けて実際に工事をしてみると下地の劣化状態が酷く下塗り一回では十分な処理と言えない場合があります。見て見ぬふりをして3回塗装で仕上げてしまえば見た目は綺麗になるかもしれません。しかし10年経過したときに塗装が剥がれてきたり、色あせが早くなったりとした症状がでます。外壁塗装工事において大事なのは、「検査に通る品質」で工事をすることではなく「丁寧に全体を見渡し状況に合わせた対応」が求められるのです。
良い職人にきてもらうには自社職人による施工を推奨
下請け業者に発注している会社に工事を頼んだ場合、良い職人に来てもらうのは運次第となります。私達が推奨するのは、完全自社施工の工事店に依頼をすることが最も確実な方法だと考えています。自社職人による施工の場合は、同じ工事費用であったとしてもお客様から頂いた予算を無駄なく工事に回せるので十分な時間をかけて施工を行うことが出来ます。また下請け工事と違い熾烈な価格競争がないため慌てて工事を行う必要もありません。
おわりに
いかがでしたでしょうか。良い職人に来てもらうには会社選びの段階から吟味していく必要があります。建築業界の体質を知る事で品質の高い工事をするための秘訣を知ることが出来たと思います。是非この知識を使って素晴らしい工事を完成させて下さい。
最後までお読みいただき有難うございました。